表具師店長の日記

特大衝立の修理 Vol.3

特大衝立の修理が完成しました \(^o^)/

Vol.1 では 下地から本紙を取り外すまでを、Vol.2 では 本紙の修理を 書きましたが、

今回は 下地の調整から上張りまでを書いていきたいと思います (^^)v

Vol.1 でも書きましたが、下地は穴が開き両面テープの痕が沢山残っておりました・・・ (^_^;)

【 Vol.1にて掲載した写真を再掲載しております 】

両面テープの残骸を取り除き、穴の開いたところは和紙を張って補強しました (^^)/

【 穴と破れをふさいだ後の下地。左が表・右が裏。 四方は殆ど浮いてました・・・ 】

この衝立は、以前にも修理されておりまして、その時に縦の枠の歪みに対応する為、下地に

打ち足しをして 真ん中部分を膨らませてありました。

その修理よりもかなり時間が経過しているからでしょうか、上下の枠も歪んできており 下地と

枠の間に隙間が出来ておりました。

上横が上方向に反っており、下横は下方向に反っておりました。

下横の真ん中を約1cm程膨らますように打ち足しをし、その分上横で両端を削りました (^^)v

これで下地の調整は完了です !(^^)!

【 上張りをめくった後の下地 】

【 左写真の赤丸部分 】

【 上写真の青丸部分 】

【 下地の上部の両端を削りました 】

この後 受け掛け・上張りとなります。

衝立や襖の様に 下地の上に紙を張る場合、いきなり下地に糊の付いた紙を貼り付けると、下地の

凹凸が出たり 次の修理が出来なくなったり(めくり上げる事が出来ない為)します。

そこで上張りをする前に 薄い紙の四方にだけ糊を付けて 下地に張り付けます。

これを受け掛けと呼びます。 受けには白い和紙を使う事が多いです。

白い和紙を2回掛けることにより、下地の凸凹が分からなくなったり ふっくらと仕上がります (^^♪

また白い上張りを張っても受けの重なりが白く浮かび上がって来ません。

2回目の受けは、上に出る部分を水切り(毛羽を出します)して薄い糊で付ける事により、和紙の

継ぎ手が分からなくなります。

また 最初の受けは下地の際より2分ほど控えて張っております。これは 衝立の場合枠の溝に

納めなくてはいけないので、下地の厚みが増えない様にする為です (^^)/

2枚目は当然下地を巻き込むように張っております。

こうする事で次の修理で本紙が外しやすくなるのです。

【 1回目の受け掛け。重なりが白く浮き上がってます。赤丸部分は控えてます(右写真)】
【 2回目の受け掛け。重なりがボケて来ました。角は右写真の様に曲げこんでいます 】

この様な下準備をしてから、上張り紙を下地のサイズに合わせて準備します。

表側は、もともと張ってあった本紙なので元の通り裏打ち紙をカットしたらいいのですが、裏側

は鳥の子を張りますので 下地の形に添ってサイズ調整をします。

また、襖紙は3尺×6尺が一般的なので 一枚ではこの下地を張ることは出来ません・・・

幅の広い紙を用意するか継ぐかのどちらかになります。

幅の広い紙は普通サイズの3倍の値段がしますので、継いで張る事としました (^_^;)

4尺幅の紙は一人で持ち上げて下地に張る事は難しいので、嫁さんに手伝ってもらって張りました!

【 嫁さんに手伝ってもらって 何とか両面を張り上げました (^^)v 】

後は、十分乾燥した後に修理した部分の色調整です。

似たような色合いと思って穴埋めをするのですが、乾燥して見てみると違いが歴然とする事が

多いです。 なので後から絵の具等で色を入れて分かりにくくするのです (^^)v

【 左が 張り上げたままの状態で右が色を入れた状態。なんとなく馴染んでますでしょ!】

これで ようやく完成となりました ヽ(^o^)丿

施主様にお届けしたら、とても喜んで頂けました !(^^)!

【 枠に入れて完成です \(^o^)/ 】

2020/6/19 書く

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