表具師店長の日記

特大衝立の修理 Vol.1

  

今年のゴールデンウイークは、例年と違い各地の行楽地に人が居ません… (^^ゞ

コロナウィルスの影響で、外出自粛を要請されているから当たり前なのですが、テレビを見ていると

パチンコ店やゴルフの打ちっ放しなど 人が集まっている所もあるそうです・・・ (>_<)

各自が自覚を持って行動をして欲しいですね!

不要不急の外出はしない・人にうつさないようにマスクをする(マスクをうつらない様にと思っている人も

居ますが違います)・外から帰ったらうがいと手洗い (^^)v

少しでも早くこの感染症に打ち勝ち、平常通りの生活に戻りたいものです (^^)/

こんなゴールデンウイークですが、店長は仕事をしております (^^♪

来客が少なくなるので、この時期は手の掛かる作業に取り掛かります !(^^)!

今年は、特大衝立の修理に取り掛かりました!

5尺(1.5m)四方の大きな衝立です。

表面には金雲砂子を施した画面に 馬に乗った人が弓を引いている絵が描いてあります。

【 この写真を見ても傷みが分かると思います… 】

裏面には 本銀の揉み紙が張ってあります。

表面の傷みが酷かったので、修理の依頼が来ました (^_^;)

画面の縦・横・斜めに 大きく裂けており、下の方は足でも当たったのか、大きく破れておりました…

【 状態を書いてみました・・・ (^^ゞ 】

また、衝立の枠と言うのは本来なら縦枠を足の土台に固定する為、縦枠の下に穴を開けてくさびを

入れるかボルトを入れてねじ止めにするかのどちらかですが、この衝立の縦枠には何の細工も

してなかったので、ぐらぐらしていました・・・ (^_^;)

まずは この枠を固定する作業から始める事としました (^^)/

この足を固定する為にくさびを入れようと思いましたが、出が短かったので ボルトを入れて蝶ねじ

で留めることとしました (^^)v

これは 店長には難しい作業となりますので、知り合いの大工さんにお願いしました (^^ゞ

アッと言う間に作業をしてくださいました (^^)/

【 もともと左の様な状態だったのですが、右の様に少し短くしボルトナットで加工しました 】

さて 店長の本職である本紙の修理です (^_^;)

本紙の幅が5尺近いので、普段の作業台(幅4尺)では足りません・・・

久しぶりに昔作った補助作業台を接続し、作業台の幅を広げました (^^)v

画面の縦・横・斜めに破れていると先に書きましたが、破れているにも拘らず裂けめがピタッと

引っ付いているのです・・・

もしかして 施主様が破れた部分に糊を入れられたのか・・・?  と考えました。

糊が入っている場合は濃い糊である事が多いのです (>_<)

そんな場合ヘラで少しずつ持ち上げて離そうとしても本紙が破れる可能性が高く、結果的には

下張りごと破って取り外すことになります・・・ (^_^;)

衝立にしても襖や額と同じで、上張り(本紙)は夫々の下地に直接貼り付けているのではありません。

下地に「受け」を掛けてそれに張り付けます。

「受け」とは名前の通り浮かす役割をします。何を浮かすかと言いますと、本紙を浮かすのです。

これは 本紙を張った後表面に下地の形が出ない様にする為であると共に、後々の修理がしやすい

様にと考えた昔の人の知恵です ヽ(^o^)丿

この「受け」と言うのは、本来下地の框に巻き込むように掛けるのです。

巻き込む事により角が浮く様になり、外す時にそう無理をしなくても 受けの糊代の部分を外せば

ポロっとめくれる仕組みなんです (^^♪

今回の屏風の「受け」は下地を巻き込んでいなかったし 角で破れていたりしたので、大変でした…

何とか四方をめくり上げ、内側の受けを切って本紙を外しに掛かりましたが、上記で書いた破れの

部分は、糊ではなく何と両面テープで留めてありました・・・ (>_<)

濃い糊を入れて留めている所もありましたので、そこは下地を破って外さなくてはなりませんでした。

薄いヘラを入れて少しずつ持ち上げて 何とか外し終えるのに ほぼ一日掛かりました (T_T)

【写真の向きが悪いですが、本紙外し完了後。作業台を拡張しても一杯一杯です… (^_^;) 】
【 本紙を外した後の下地。 糊や両面テープの為下地も傷んでいます… (>_<) 】

長くなって来ましたので3回に分けて書く事にします (^^ゞ 

次回は 本紙の修理について書いていきます (^^)v

2020/5/7  書く

コメントする

名前

URL

コメント

当店の紹介
当店の実績
奈良県桜井市 お礼の品一覧ページはこちら
 なび奈良

奈良県桜井市の大神神社(三輪明神)の参道にお店がある大正12年創業の老舗 高梧堂(こうごどう)嶋岡表具店です。
近くには、邪馬台国卑弥呼の遺跡として有名な纏向遺跡があります。
古くなって傷んだ掛け軸・額・屏風等を1級表装技能士であり文化財保存修復学会会員であるベテラン表具師が責任を持って修理修復します。
又、書画などを掛け軸や額に表装(新調)致します。 大阪京都は出張見積り無料。

カレンダー
  • 今日
  • 定休日

の日は商品の発送はお休みさせて頂きます。
メールの返信やお問い合わせにつきましては、在宅時は対応させて頂きます。

お友達リンク
三輪の地図
あんしんクレジットカード決済システム

表具師店長の日記

嶋岡店長

こんにちは!店長兼表具師の嶋岡です。

京都で修行を積み、この道一筋35年。数々の古い表具の修理修復をしてきました。
お客さん第一で、納得のいってもらえる仕事をモットーとしております。
お気軽に声をお掛けください。
店長日記はこちら >>

下記にメールアドレスを入力し登録ボタンを押して下さい。

変更・解除・お知らせはこちら

ページトップへ