表具師店長の日記

特大衝立の修理 Vol.2

 

特大衝立の修理の続きです (^^♪

前回は 上張りをめくったところまで書きました。

普通なら めくり上げた上張りは作業台の上に置き直し、状態を確認して敷き紙の上に裏返しに

乗せて湿していきますが、今回はサイズが大きく 破れが酷いので作業台に移すそうとすると 更に

破れが酷くなりそうなので移す事が出来ませんでした・・・ (>_<)

下地の上に置いたまま 破れた部分を整え、スプレーで水を吹きかけて湿りを入れました。

その後その状態のまま敷き紙を本紙の上に乗せて十分な水で湿らせ、嫁さんと二人掛かりで

下地ごとひっくり返し手作業をできる体制に持って行きました (^^)/

これをするだけで、午前中掛かってしまいました・・・(^_^;)

【 下地の上で表に乗せた敷き紙を湿す 】 【 裏返しにして作業できる体制にする 】
【 内側から見た傷みの部分。両面テープは沢山残ってます。
糊止めの所は下張りが引っ付いたままです・・・ (^_^;) 】

修理の作業で本紙を裏返して最初にする作業は、前回の裏打ち紙の除去です!

これは何故必要かと言いますと、本紙に一番近くに接している紙が弱いと本紙も弱くなるからです。

何十年下手をすれば百数十年経ったものもあります。

それほど古い本紙であれば、内側にあるにせよ裏打ち紙もかなり傷んでいる筈です (^^)v

その裏打ち紙を新しい和紙に取り換えるだけで 本紙の強度は格段に増すのです ヽ(^o^)丿

その為 時間は掛かりますが、ピンセットを使って少しずつ持ち上げて行く訳です (^^♪

【 裏打ち紙除去作業。先の細いピンセットで下の本紙を破らない様に気を付けてめくります 】

大きな本紙の場合、何枚かの紙を継いで使っています。

今回の衝立も 横に2か所・縦に1か所の継ぎ手がありました。

裏打ちをしてから継いである場合は、先に継ぎ手を外しばらばらにすると言う方法もありますが、

今回は 先に本紙を継いでから裏打ちをしているようでしたので、そのままの状態でめくって行く

事にしました (^^)/

この衝立に施工してある裏打ち紙は少し厚手の間似合紙です。

横に4等分して 傷みの激しい下の部分から作業を開始する事にしました!

下の部分は大きな穴が両側に空いており、内側と言えど中に空気が入り込み外側と似通った環境

だったようで、裏打ち紙の間似合紙もかなり傷んでおりました・・・ (>_<)

水に浸して時間を置いてからめくり出しましたが、中々めくれてくれません・・・

4時間ほど掛けて全体の 1/8 位しか終わりませんでした・・・

次の日も一日かけて 1/8 弱しか進まず・・・ (>_<) この先どうなるのやら・・・ と思いました (-_-;)

その次の日 下の段の残りを仕上げ上の段に移動しましたが、まだまだ先は長いです・・・

4日目位から今度は結構スムーズにめくる事が出来る様になってきました !(^^)!

簡単にめくれたり、難儀したりを繰り返し、全部めくるのに5日程掛かりました… (^_^;)

【 初日 半日で1/8しかめくれず… 】 【 2日目 一日かけても下の段完成せず 】
【 3日目 下の段の残りと1/8弱めくる 】 【 4日目 ペースが速くなり1段分くらい完成 】
【 5日目 9割ほど完成 (^^)/ 】 【 6日目 半日かからずめくり終わる! 】

その後は修理です。

破れたところには色を付けた和紙を傷口にかすがいの様にして張り、欠損個所には似通った色に

染めた和紙を当てがいました。

金砂子の欠損個所には、当店で保存している古い襖紙のめくりの中から 似通った砂子を探し出して

それを当てがいました (^^)v

【 裏打ちをめくった後乾燥させて
     穴に入れる紙の色合わせをします 】
【 上の様な隙間は全体を移動して塞ぎます 】
【 右の写真は古い襖の上張りです。こんな砂子や金を選んで左の穴埋めに使います 】

そして一通り修理が終わったら、裏打ちをめくった後のかすを全て拾い、古代色を付けた和紙で

裏打ちをします。

【 裏打ち迄終わりました。裏側から見た写真。右の写真は左隅の拡大 】

ここまですればひと段落出来ます \(^o^)/

何とか形になりました (^^♪

【 こんな感じに仕上がりました ヽ(^o^)丿 遠目に見れば綺麗でしょ (^^♪ 】

この後は、下地の穴埋め補強をし、受けを掛けて上張りをすれば完成となります。

それについては、後日報告します !(^^)!

前回の報告につきましてはこちらをご覧ください (^^)/

2020/5/10 書く

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奈良県桜井市の大神神社(三輪明神)の参道にお店がある大正12年創業の老舗 高梧堂(こうごどう)嶋岡表具店です。
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