表具師店長の日記

久しぶりに古い襖の修理です・前編 (^^)/

 久しぶりに古い襖の修理をさせて頂きました。

襖の修理の場合、修理と言っても穴埋めをする事が多くあります…

今回は 襖の上張りをすべて捲り上げての、本格的な修理となりました (^^)v

襖であれ何であれ 修理は傷んでからすぐにする方が元に戻りやすいです。

時間が経てばたつほど傷みは酷くなっていきます(覚えておいてくださいね!)

今回の襖は、破れた後にご自分で糊を入れられ、その後かなりの時間が経過したようです・・・ (~_~;)

ご自分で糊を入れられると 上張りの裏に糊を付けてそのまま下地に張り付けてしまわれます…




襖と言うのは、芯となる組子の上に紙を何枚も張り付けて下地を作っております。

その下地の上に、四方だけ糊を付けた 「受け」 というものを張り付けます。

四方しか糊が付いていないので真ん中は浮いております。

その浮いた受け紙の上に上張りを張っておりますので、上張りは下地から完全に浮いた状態に

なっている訳です (^^)/




今回の襖も同様に上張りが下張りにしっかりと糊付けされておりました… (~_~;)

襖紙の修理の為には、まず絵の部分に滲み止め加工を施します。そして引手とふちを外します。

その後 見込み(襖のふちを打ってあった部分) から包丁を入れて糊付けされた部分を捲り上げ

ていきます (^^)/

 

四方ぐるっと捲り上げる事が出来たら、上張りを下地の隙間に薄いへらを差し込み、少しずつ上張りと

下地を外していきます。

ここまで出来たら、ほぼ上張りを外したと同然の状態です。 残るは受け足だけです。

「受け足」 と言うのは、受けの足と言う事で 四方だけに糊を付けて真ん中を浮かして張った和紙の

下地に引っ付いている部分の事です。

これを上張りが破れない様にそーっと持ち上げ外していきます。

受け足を全部外せば 上張りが下地から外れてくれます (^^♪

しかし 今回の襖は先に説明した様に、ご自分で破れに糊を入れておられます… (~_~メ)

その為 その近くの下張りを切り取って上張りと下地を切り離さなくてはなりませんでした・・・ (T_T)

難儀しましたが、何とか上張りを取り外すことが出来ました ヽ(^o^)丿

 

 


上張りを外してみると 下張りもかなり浮いていました。

上記の図の様に下張りは沢山の紙が張ってあるので、1枚ずつ丁寧に糊を入れて付けていきます。

 

 

 

上右の状態で下地の修理も完了と考えておりましたが、破れの周りの下張りがかなり弱くなって

おりました… (>_<)

全面に張り増しした方が下地的にはしっかりするのですが、片面だけ直接下地に張り増し(ベタ張り)

すると、紙が乾燥する時縮んで裏側に反ってしまいます。

そうなると 襖を開け閉めする時に後ろ側の襖に当たる可能性が出てきます。

そこで店長は、下張りの一つである 「蓑掛け」 をしようと考えました !(^^)!

1回蓑掛け です。 30cmほどに切った紙を少し重ねて中ほどだけ糊を入れて張り付けます。

この後前面に水糊を付けた和紙で 「蓑縛り(ベタ張り)」 をします。

同じ ベタ張り でも 中ほどが浮いているので、下地に対する影響は少ないです (^^)v

 



長くなりますので、今回はここまでとします (^^ゞ

続きは こちらへどうぞ (^^♪


2023/10/16  書く




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