表具師店長の日記

嫁さんの実家の襖の張替えをしました!

 嫁さんの実家の襖の張替えをしてきました ヽ(^o^)丿

別大マラソンに参加する為の九州行きを少し早め、嫁さんの実家に先に行き、襖の張替えをしたのです!

張替えとなると道具類を丸まる持って行かなくてはなりません…

軽トラで行ったら問題なく全て積めるのですが、マラソン終わったらその日のフェリーに乗らなくては、

7日からの仕事に間に合わないと言う状況にあったので、万が一マラソンで怪我をして運転できなくても

乗用車なら嫁さんも運転出来るという事で、無理無理 乗用車に荷物を詰め込んで帰りました (^^ゞ

1月31日のフェリーに乗り、2月1日早朝に新門司に到着。 一路大分県中津市まで (^^)/

結構早く 7時半には到着しました… (^_^;)


さっそっく道具類を下ろし、実家の襖の確認をしました!

大きな襖が12枚と小さな襖が7枚ありました。 ちょっと多いですね…(^_^;)

実家は 住宅メーカーである 「セキスイ」 の家で、築25年ほどでした・・・

襖はと言いますと、一般的な襖ではありませんでした…(>_<)

その様な予感はしていたのですが・・・

畳みで言う所の 「スタイロ」 を芯に使った襖風の仕切りとなっていました。

普通の襖は、ふちを外して下地だけにし、紙を捲って受け紙を掛け、上張りを張って張替えとなりますが、

この襖は、ふちが外せないので、 「戸張り」 と同じ仕事となります。

ただ厄介なことに、戸張りなら 張ってある紙を捲ることが可能ですが、この襖は捲ることが出来ません…

何故なら スタイロの上にアルミシートを貼り付けその上に上張りを貼り付けているという構造だからです…

 


万が一も考えて、戸張り用の道具も積んでいたので対応できました ヽ(^o^)丿

ただ、作業台を積んでくることが出来なかったので、現地にて 9mm厚の コンパネを購入しマットの

下に敷き、作業台の代わりにしました (^^)v

先にも書きましたが、戸張りなら上張りを捲って綺麗にしてから新しい紙を貼れるのですが、この襖は

捲れません… (>_<)

そのまま糊を付けて直に貼ってしまうと、下の紙の汚れが表に染み出してしまいます… (^_^;)

そこで、薄い紙の四方に糊を付けて下張りをし、その上に上張りをする事としました。

この下張りは 「受け掛け」 と言い、四方だけに糊を付けているので、真ん中が浮く仕組みです。

その為 元貼ってあった紙の汚れが染み出してくることはありません ヽ(^o^)丿

そして、上張りには織物が貼ってあったので、その上に糊を付けても引っ付き難いだろうと考え、

ふちの内側に 2cm ほどの 「捨て糊」 をしました。

これは、予め糊を付けておくことで、その上に張る紙の接着が良くなるのです (^^)/

 

 

到着した日は、ふちを拭き上げ ・ 捨て糊 ・ コンパネ等の買い出し で潰れてしまいました・・・


2日目は、「受け掛け」 と 「上張りの紙ごしらえ」 をしました (^^♪

受け用の紙は、幅90cm × 丈65cm ほどの長方形ですので、襖一枚を覆う為には 3枚必要となります!

ただ、受けは細かく掛ける方が、仕上がった後たるみも少なくなるので(雨の日とか経年でたるんできます)

一枚を半分に切って6枚で掛ける事としました !(^^)!

半分にする時も、カッターナイフで切るのではなく、定木を当てて水引をし手で引き裂くようにして切ります。

これを 「喰い裂き」 と呼びますが、紙の厚みが薄くなり段が出にくくなります (^^)v

こうする事で切れ目がボケて仕上がった後 継ぎ手が表に出にくくなるのです ヽ(^o^)丿

 

 

上下の継ぎ手(横の線)は表に出にくいのですが、左右の継ぎ手(縦の線)は目立ちます !

さらに縦の継ぎ手の表側の喰い裂き部分には、濃い糊ではなく薄い水糊を付けます。

濃い糊はそれだけで厚みが出ますが、水糊は厚みを出さないからです (^^♪

そして、襖に張る時は ふちから約1.5分~2分(5㎜ 前後) 離して張ります。

 

受けに糊を付けるのは凡そ1分(3㎜)なので、全体として上張りは四方8㎜程 下地と引っ付いている

と言う事になります。それ以外の真ん中はすべて浮いております ヽ(^o^)丿

下地と上張りが浮く事で、下地の粗が出にくくなると共にフワッとした仕上がりになります !(^^)!

紙ごしらえが 少し早めに出来たので、4枚ほど上張りまですることが出来ました!


3日目は、上張りと仕上げです!

4日目の朝には別府まで行かなくてはいけないので、上張りは終わっておかなくてはなりません!

上張りは襖を張る時と同様に、糊を付ける前に水刷毛で全体に湿りを入れます。

紙の四方は濃いめの糊を3cmくらいの幅で付けます。

紙の中ほどは水糊と言って、濃い糊に水を入れしゃぶしゃぶになるほど薄めた糊を満遍なく塗ります!

 

紙ごしらえの際、襖より四方3分(1cm)ほど大きく切っております。

下地と引っ付く部分は1cmほどですので、糊付けも2cmほどで良いのですが、張る時にずれたり 水糊

が掛かって濃い糊が薄まるので、それを見越して多めの3cmくらいで濃い糊を付けます (^^)v

糊をつけ終わったら 襖まで紙を持って行き、四方の出を揃えて柔らかい毛の撫で刷毛でしっかりと撫で

竹べらで四方をしっかりと抑え込んでから、地ベラを当ててカッターで余分な紙を切り落とします。

ふちについた糊を綺麗に拭って、薄くしっかりとした紙を当てて上から手でしっかりと四方を撫でます。

これをしないと乾く時に四方の糊が外れて、上張りが捲れてしまいます…(~_~メ)

 

 

このことを 「 上張りが飛ぶ 」 と言っております。

今回はしっかりと撫でたので、上張りが飛ぶ事なく しっかりと張り上げる事が出来ました \(^o^)/


4日目の朝に 引手を入れてすべて完成しました ヽ(^o^)丿

 

義お父さん・義お母さん も喜んでくれたと思います ヽ(^o^)丿

少しは親孝行できたかな (^^ゞ


余談ですが、今回は旅行支援を利用したので結構お安く帰る事が出来ました!

往復 南港―新門司 の 名門大洋フェリー を利用したのですが、フェリーは夜行なので宿泊とみなして貰え

乗船料金から2割引きとクーポンがもらえました (^^)/

特に帰りは大阪府の旅行支援に該当し 大人二人と乗用車1台で 21850円のところを17480円になり

クーポンが何と 10000円分もらえました ヽ(^o^)丿

国と大阪府に感謝です (^^)/


2023/2/16  書く




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奈良県桜井市の大神神社(三輪明神)の参道にお店がある大正12年創業の老舗 高梧堂(こうごどう)嶋岡表具店です。
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こんにちは!店長兼表具師の嶋岡です。

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