表具師店長の日記

大変だった額の修理 (^^;)

 最近額の修理をよくしております (^^♪

それも 傷みが酷いものが多いです・・・ (^^;)

その中でも印象深い額の修理を2点ほど紹介させて頂きます。


【虫喰いが多い本紙】

この額は、本金の砂子振りの上に本紙を納めてあり、アクリルやガラスの様な保護材は入っておらず、

更に飾ってあったのではなく、別室にて保管されていたそうです。

その保管が不十分で虫に喰われたと言う事です。




どの様な修理をするか相談させて頂きましたが、本金と本紙の両方を修理して欲しいとの事でした。

本金砂子はベースが鳥の子なので紙厚がそこそこあり、裏から同じ様な砂子の紙を当てても段差が出て

修理痕が目立ちます。そこで虫喰い穴の裏側から穴に向かって鳥の子紙を薄くそぐことで穴の周りの

厚みを薄くした後、似た様な砂子を当てる事にしました (^^♪

本紙も虫喰いが多かったのですが、裏打ちをめくってみると想定以上の虫喰いでした・・・(^^;)



 



本紙と似た様な色に画仙紙を染め、虫喰いの穴に当てて分かり難くしました (^^)v

本紙・砂子共に修理をし、下地に納めて完成しました ヽ(^o^)丿




 


【特殊な絹の本紙 】

特殊な絹と書きましたが、現在ではそう見ないような気がするのでその様に書きましたが、昔の掛け軸や

額には良く使われていた 「絖(ぬめ)」 と言う絹です。




絖を使った本紙を「絖本(こうほん)」と呼びますが絹本の一種です。

絹本は生糸を平織りした織物ですが、絖本は練り糸を繻子織りした織物で光沢があります。

ただ、薄く柔らかいので扱いが難しいです・・・(~_~;)

こんな薄い絹にどうやって文字を書いたのか不思議なくらいです (^^;)

この絖に書いた本紙で、既に何度か修理をされている額を再度修理して欲しいと依頼されました。

その本紙には前回の修理痕や本紙の欠落部分それに本紙織り目の撚れなどがありました・・・

とにかく前回の修理時に施した部分の撤去が必要になります。

 


全体に水をして裏打ち紙の除去をしましたが、部分的に絹が重なっている様に感じました。

ゆっくりと持ち上げると、新しい絖を破れが多い部分にかぶせて張り付けていました…(◎_◎;)

絹の上に絹を張り付けるのは聞いた事も見た事もありませんでした!

店長としては 「よく浮きもせず収まってたなぁ…」 と言うのが感想でした (^^;)

その絖も取り外し、元々の絹1枚にまでしました (^^)/




一度乾燥させてみると、穴の状態や色合いが良く分かります。

かなり破れていました・・・  それに かなりの糸が撚れていました・・・

乾燥させた絖の色に合わせ、美濃紙に矢車(やしゃ)の染料で色を付けました。




似た様な色合いに仕上がったら、本紙を再度湿し撚れている糸を少しずつ直しました (^_^;)

その後色を付けた美濃紙で裏打ちをしました (^_^)v

色付けが上手く行ったので、表から見てもほとんど違和感なく仕上がりました ヽ(^o^)丿

施主様にも喜んで頂けました (^^♪




2022/3/21 書く





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こんにちは!店長兼表具師の嶋岡です。

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