表具師店長の日記

久しぶりの涅槃図の修理 Vol.2

 【穴塞ぎ】

大きく開いた穴に似通った紙を裏から貼ります。

本紙の裏から裏打ち紙を貼るので、その紙で穴が塞がるから、わざわざ穴を塞ぐ必要もない

ように思いますが、紙の質が裏打ち紙と本紙では違いますので、似通った紙質の紙を探して、

穴の形と大きさに合わせて切り取り、裏側から貼り付けます !(^^)!

それに 穴埋めをしていないと厚みが違うので そこから折れたりします・・・ (^^;)






写真の様にして、少しずつ穴を塞いでいきます (^^)/  穴が多いと大変です (^^;


【裂け目の補修】

折れのきつい本紙の場合、その折れから裂けている場合があります。

裂けている所は予め濃い糊を使って 鎹として紙を貼っておきます。

掛け軸の肌裏の糊は結構薄いので、何度も巻いたり開いたりすると糊が外れてくる事があります。

それを防ぐ為 濃い糊で本紙に直接貼ります (^^)/



【肌裏】

本紙を保護すると共に 掛け軸を組み立てるに当たって 本紙をしっかりさせる効果を持ちます。

本紙だけですとペラペラできちっと四方を直角に切る事が出来ませんし、皴や折れもそのままです。

裏打ちをするときちっと四方を直角に切り取れます(これを「化粧裁ち」と言います) (^^)v

それに 皴や折れが取れ 厚みが出て、掛け軸の基本となる作業です (^^)/





【折り伏せ】

掛け軸を新調する場合は必要ないのですが、古いお軸を仕立て直すときに必要となります。

折れが発生している場所に裏側から細く切った和紙をその折れの上に貼る作業です (^^♪

破れていたところは和紙で鎹を入れていますが、場合によっては折り伏せを入れることもあります!

折れが多過ぎて、裏面のほとんどに折り伏せを入れた事もあります (~_~;)





【二度裏】

二度裏の事を 店長は「中裏」と教わりましたが、「増し裏」と言うところもあるそうです。

二度目は「土入り美須」と言う紙を使います。 厚さも色々あり その本紙によって変えていきます。

掛け軸はデリケートでして、糊の濃さによって 掛かりの良さが変わってきます・・・ (^^;)

あまり濃い糊を使うと反りが出やすくなります。 かと言って 薄い糊では付きません・・・ (>_<)

その為 この作業では 「打ち刷毛」 と言われる大きな刷毛を用い、裏打ち後 それで叩いて紙の繊維を

絡ませて接着させます (^^)v



ここまで出来ると修理の作業は終了です (^^)/

現在 絵描きさんにお願いして真ん中のお釈迦さんの色を補色してもらっています ヽ(^o^)丿

補色が終わり綺麗になって帰ってきたら、今度は掛け軸に仕立てていきます (^^)v

ここから先は 掛け軸の新調と同じ作業となります (^_-)-☆


2021/4/8 書く


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奈良県桜井市の大神神社(三輪明神)の参道にお店がある大正12年創業の老舗 高梧堂(こうごどう)嶋岡表具店です。
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