表具師店長の日記

またまた大きな掛け軸の修理です Vol.2

先日報告しました、「大きな掛け軸の修理」 の第2弾です (^^♪

前回は、本紙の修理に掛かったところまで報告しましたので、今回は 最終の裏打ちである

総裏を入れたところまでの報告をします (^^)/

本紙の修理ですが、これくらいの大きさ (幅6尺1寸 × 丈4尺8寸) になると、何枚もの紙を継いで

作っていますので、継いだ部分を外し 何枚かに分けて作業をします。

ただ、今回の本紙は 過去に何度も修理をしており (なんせ 380年ぐらい前の本紙なんで・・・)

継ぎ手部分に大きな穴があったり、継ぎ手がほとんど無くなっていたりしていたので、ばらすと

後が大変になりそうな気がして、作業台に何とか乗っているので、そのままの状態で修理に掛かり

ました (^_^;)

【 裏から見ると修理痕がよくわかります。一杯穴埋めしてました…】

ただ、やっぱり大きいだけに大変でした。

無事に穴埋めも完了し、肌裏 (1回目の裏打ち) するのに、2週間ほど掛かりました (>_<)

この大きな本紙を乾かす仮張りが無いので、当店最大の仮張り(幅4尺)と普通サイズの仮張り

(幅2.6尺)を繋ぎ合わせて、これ用の仮張りを作りました (^^ゞ

【 分かりにくいですが、左は元の状態 右は古い修理の紙を除いて新しくしました 】
【 二枚継ぎの仮張り 】 【 肌裏完了。 仮張りに張り付けています 】

本紙・裂地の厚みを考慮しながら、中裏 (2度目の裏打ち)をし、そして付け廻し (組み立て) です。

普通ならここまでして、幅出しをして耳折をし 最終の総裏になるのですが、今回は大きいので、

増裏 (3度目の裏打ち)をしました。

付け廻し後 幅出しする大体のサイズのところに線を引き、四方にのりしろ用の紙を張ってから、

線の間に紙を張ります。 一杯一杯に張ると 耳折が厚くなるから、ダメなんです。

そしてそれが乾いたら、幅出しをして耳折をします。 そして総裏です。

総裏は (増裏もそうでしたが…) 作業台の上に掛け軸を広げ、裏打ち紙を張りたい場所に置いた後

半分のところまでアクリル板を乗せて、そこまで折り返して糊を付け その側を裏打ちし、反対側に

アクリル板を移動し残り半分に糊を付け裏を打つ。 という作業を繰り返すのです。

普通の掛け軸の 3.5倍ほどの時間が掛かりました・・・(T_T)

総裏後すぐに仮張りに張り付けるのでは無く、1日素干しして翌日に再度湿らせてから仮張りにかけ

ました。 これは、素干しによって 大きく全体的に縮み 後々の狂いが少なくなるのです (^^♪

【 付け廻し後。 四方にのりしろを付ける 】 【 増裏後。一杯一杯には張りません 】
【 耳折り後。 完成後の姿が分かります 】 【 最終裏打ちである 総裏中 】
【 素干し中。 完走すれば皴々になります… 】 【 再度湿りを入れてから 仮張りに張り付け 】

これでとりあえずは一安心です。

後は1か月ほど干します。 その間に、軸棒と表木を用意します。

【 こう見ると やっぱり大きいですね・・・ 】

2017/3/31  書く

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