表具師店長の日記

今年も涅槃図の修理をさせて頂きます!

今年も 涅槃図の修理をお預かりしました \(^o^)/

昨年度は、幅2.2m 丈3m ほどの超巨大な涅槃図を修理しましたが、今年は サイズはそれよりも

小さいですが、欠損箇所が非常に多い状態の悪い涅槃図です・・・

【 中央部分の欠落が沢山あります。これは紐の締め過ぎで起きたのでしょう… 】

小さいと言っても、幅1m 丈1.2m はあるのです・・・(^_^;)

しかも、湿気がかなり入っており、裏打ち紙が浮いています。 その為、本紙が剥離している部分が

ポロポロになって細かく(大きな物も有りましたが)割れ、掛け軸の中に落ちていました… (>_<)

全体的に均等に裏打ち紙が浮いていてくれたら剥がすのも楽なのですが、部分的に浮いていたり

部分的にしっかり引っ付いていたりしている為、作業は難航しました。

【 折れてるところを広げてみました 】 【 上部の欠損箇所 】

【 中ほどの本紙の浮き 】

【 中央部の欠損箇所 】
【 下部の欠損箇所と本紙の浮き 】 【 本紙の継ぎ手の浮き等 】

また、裏側に年号・奉納者等のお名前が書いてありましたので、それも保存しなくてはなりません。

ちなみに 「嘉永二年( 西暦1849年 )」 と書いてありました。 167年前の物です・・・

【 嘉永二年です。右の裏打ちは ほぼめくれた状態でした・・・ 】

地区で預かっておられる涅槃図です。昔は何かの折に掛けておられたのでしょうが、最近になって

見つかったと言っておられたので、眠ったままだったのですね。 どの修理の時にも思うのですが、

個人的な掛け軸より公の掛け軸( 回り持ちしている掛け軸 ) の方が、傷みが多いです。

私が思うに、人の物はついつい いい加減な扱いになってしまうのではないのでしょうか?

欠落箇所は多いですが、色彩の綺麗なお軸ですので、最初に絵の具の色止めから掛かります。

そして、裏打ちをめくって修理の作業に入ってきます。

普通は、敷き紙の上に裏返しに置き、湿りを入れて皴を取るように伸ばしていくのですが、今回の

本紙は 先にも書きましたように、かなり浮いて本紙が傷んでおりましたし、折れもきつかったので

敷き紙の上に表向きに置き、霧吹きで湿りを入れしわを伸ばす方法を取りました。

表向きにおいて作業をすると、上から刷毛で刷いて伸ばすことが出来ないので、時間が掛かります。

長い年月 裏打ちがはがれた状態できつく巻くと、本紙にしっかりとした皴が入ってしまいます。

この皴はいくら伸ばそうとしても ほとんど取れません・・・ (-_-;)

今回もその様な皴が 沢山有りました。

何とか折れも伸ばし、裏返しにして裏打ち紙をめくっていきました。

傷みすぎて、本紙や裏打ち紙が 綿の様に なっている所も有り、裏打ち紙を剥がすだけで 1週間

掛かってしまいました (>_<)

【 裏打ちをめくるのに時間が掛かる為、ビニールで覆って乾燥しきらないようにして作業 】
【 裏打ちめくり完了 裏側から 】 【 表側から 】

まだまだ作業は続きますが、途中経過として報告します。

進展がありましたら、また報告します (^^)/

2016/12/18 書く

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