表具師店長の日記
四幅対の親鸞上人絵伝を修理しました (^^)/
先日 「親鸞上人絵伝」 と言う 四幅対の掛け軸を仕上げました (^^♪
当店でも既製品の商品として販売しているのですが、当店のは一幅に四幅分描かれています (^_^;)
今回のは幅が2尺7寸(82cmほど)と大きく四福対なので取り掛かるにも時間が掛かりました… (~_~;)
一昨年の12月に持って来て頂きましたが、大きな掛け軸は時間と場所を確保するのが必要となりますし
自分の気持ちもそれに向けて作らなくてはいけないので、結局取り掛かり始めたのが、昨年の11月
でした (>_<)
「自分の気持ちを作る」 って書くと、何か偉そうな言い方ですが、実際 いい加減な気持ちで 流れ作業で
取り掛かると、失敗してしまう事が多くなります… (^^ゞ
その意味でも 「よし、やるぞ!」 と言う気持ちは大切なんです!
親鸞聖人と言えば浄土真宗ですので、裂地(きれじ)も浄土真宗に関係する柄を探しました。
施主様にお伺いしますと 「浄土真宗 東本願寺 大谷派」 との事でしたので、大谷派でよく使われます
「雲に八ツ藤」 の柄を使う事になりました (^^)/
元々の掛け軸が、上のお写真でも分かるように 上下が紺の無地 を使っておりましたので今回も同様に
上下は紺の古代絓(こだいしけ 無地織です) を使いました (^^♪
裂地は決まりましたので 作業に取り掛かりました。
まずは 滲み止めからです。
82cm × 120cm の本紙画面のほとんど全てに絵が描かれておりますので、ほぼ全面に施工する
事となりました・・・ (^_^;)
次は裂地の裏打ちですが、裂の幅は2尺4寸(73cm)ほどしかありませんので、横に継ぐ必要が有ります。
柄がはっきりとしているので、歪むとよくわかるし、継いだ時に継ぎ目も分かりやすくなります。
また四幅対の場合は、四幅の柄を揃えなくてはいけないので、裂地を準備する時からそのことを考えて
作業をしていきます。(これが結構難しいんです…)
そして裂肌(裂地の裏打ち)が出来たら いよいよ本紙の修理に取り掛かります… (^^ゞ
大きな本紙なので古い裏打ち紙を捲るのも簡単には行きません…
少しずつ気を付けながらの作業です。
でも幸いな事(?)に 湿気がかなり入った本紙だったので、本紙を傷める事もなくスムーズに作業を進める
事が出来ました ヽ(^o^)丿
ただ、4枚ありますので それなりの日数が掛かってしまいます (~_~;)
本紙の水色部分が特に色落ちしておりましたので、施主様と相談して その部分だけ絵描きさんに色を
入れてもらう事にしました (^^)/
他の部分が綺麗なので、水色部分に色を入れてもらうと とても綺麗になりました ヽ(^o^)丿
本紙が絵描きさんより帰って来たので、いよいよ裂地の付け廻し(掛け軸に組み立てること)です!
上にも書きましたが、柄が良く目立つ裂地なので、四幅並べた時に柄が 「スパッ」 と通ると見た目も
綺麗なので、柄の位置を確認しながら、中廻し・柱・風帯 を準備しました (^^)v
見にくい部分も有りますが、上記の4枚の写真の中廻しと柱そして風帯の柄が揃っているでしょ (^^)v
そしてお預かりしてから1年半掛ってようやく仕上げる事が出来ました。
そしてもう一つしなくてはならない事がありました。
それは桐箱の修理です。
入れてあった桐箱は二段になっており、下層と上層にそれぞれ二幅ずつ入れる様になっているのですが、
場所を決める為の枕が付いていなかったので、それぞれの層に二幅の掛け軸を投げ入れている様な
状態だったのです・・・(>_<)
折角新しく仕立てながら、同じような納め方をしていたのでは、すぐに傷んでしまいます。
そこで 二幅が並んではいるような枕を作りました (^^)v
これで安心です。
そして今までついていた紐を新しい真田紐と取り替えてすべて完成、施主様にお引渡しさせて頂きました!
施主様にも喜んで頂けてホッとしました \(^o^)/
2023/6/23 書く
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