表具師店長の日記

墨が綿の様に傷んだ本紙 (-_-;)

先日 状態の非常に悪い本紙をお預かりしました。

額の修理なのですが、本紙に書かれている文字が盛り上がっていたのです・・・ (@_@;)

墨が経年劣化で綿の様になって盛り上がっていたのでしょう・・・

【 上記の写真の様に 全ての文字が、盛り上がっていました! 】

本紙に書いてある年号から、およそ105年前に書かれたものですが、額には表面を保護する

ガラスやアクリルは入っていませんでした。当時の物としては、当然なのですが・・・

指で触ると、指に墨の粉が付いてそこだけ無くなる様な感じでした。

実際 何か所か墨のなくなっている所もありました。

施主様は、 「こちらに持ってくるのにあたり、表面が埃だらけだったので、軽く拭ってからにしようか

と思ったけど、怖いのでやめました。」 との事でした。

正解です!  拭っておられたら、全て無くなっていたでしょうから・・・ (^_^;)

作業に入る前、どの様にするか色々考えました。

とりあえず 墨を固定しなくてはいけないので、その為の方法です。

いきなりにじみ止めを筆で塗りだすと、筆に墨が付いてくるだろうから、まず定着スプレーを少し

離したところから数回振りかけました。

少しはしっかりした様な感じだったので、定着液を筆につけて少し塗ってみました。

すると筆の置いた所の墨は、スッと沈みました。

筆を少し動かそうとすると、沈んでいない墨も一緒に動きそうになりましたので、これは危ない!

と思い筆を上げ、筆を動かすのではなく、定着液を付けては筆を置き また付けては置く を繰り返し

全ての文字に 定着液を付けました (◎_◎;)

十分乾燥させてから確認しますと、まだ少し不安があったので、再度文字の上に定着液を塗る事

にしましたが、今度は 普通になぞっても大丈夫でした (^^)v

【 墨の際が ぺったんこになっているの 分かりますか?】

再度 十分乾燥させた後 作業に掛かりました。

敷き紙の上に乗せて本紙を十分に湿し、裏打ち紙をめくっていきます。

定着剤を塗布した墨の部分は、案の定裏側まで滲みだしており、裏打ち紙も引っ付いていましたが、

何とか捲ることも出来ました。

ただ、字の周りの白くなっていた部分が弱くなっていると気付かず、少し傷めてしまった事は今後の

反省点となりました (~_~メ)

2018/9/29 書く

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近くには、邪馬台国卑弥呼の遺跡として有名な纏向遺跡があります。
古くなって傷んだ掛け軸・額・屏風等を1級表装技能士であり文化財保存修復学会会員であるベテラン表具師が責任を持って修理修復します。
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