表具師店長の日記

元禄九年の掛け軸!

昨年8月頃 に近くのお寺から お軸の仕立て替えを 依頼していただきました。

このお寺で眠っていた、古い掛け軸で 3幅対になっていました。

虫やネズミにかじられた跡が多数ありかなり傷んではいましたが、中の絵自体は結構保存状態が良かったです。

桐箱には、右の写真のように

「 三千佛 三幅  元禄 九年 丙子  季冬 吉祥日 」

と箱書きされていました。

元禄九年と言えば1696年です。 今年が2010年ですから、かれこれ 314年 は経っているわけです \(◎o◎)/!

そして、「 三千佛 」 とあるように、上の写真には 三千体の仏様が描かれています。細かくて何かわかりませんが・・・

1幅当り 千体の仏様が描いてある勘定です。

店長は数えてみました (^_^;)  確かに千体ありました(*^^)v

上の写真で、点の様に見えるのが仏様です ( 右下写真参照! )

信仰の力というのは、 凄いなぁ! と実感しました・・・

大きいし・3幅あるし・・・ と言うことで なかなか仕事に掛かれませんでした (^_^;)
結構 気合を入れなくてはこういう仕事には取り掛かれないのです。
テンションを上げて、この仕事のモードに持って行くのに、一年ほど掛かりました (^^ゞ

    

ようやく取り掛かったのが、今年の春です。

まず、これらの絵が作業によって消えてしまわない様に(水を使うので、絵の具が溶けたり 剥がれたりすることがあります)1体ずつ保護していきます。

下写真がその作業ですが、1幅仕上げるのに 約1日掛かりました (^_^;)

写真を見れば、掛け軸の大きさもわかると思います!

この作業の後、掛け軸から本紙を外し 裏打ちの紙をめくります。

そして 本紙の痛んだ所を修復し、裏打ちをします。

裂は、普通の幅では足りないので、二枚を継ぎます。 この時にうっかりしてしまうのが、裂の柄を揃えること!

3幅が横に並んだ時、柄がバラバラでは見た目が悪いでしょ (^^)v

今回の仕立ては 「 真の草仕立て 」  つまり、仏表装で 一文字無し です。

施主さんから、「 張り風袋の一文字無し・金軸は古いのを使って欲しい。 」 というご希望でしたので・・・

いろんな作業工程を経て、最終の裏打ちである 『 総裏 』を終えたのが、7月の初頭でした

総裏を入れて、仮張りに干しているところ。 最初は裏が見えるように干しますが、途中で表裏を入れ替えます。

この状態で、約1か月置いときます。 仮張りも普通幅を2枚継いで使いました。

いい感じになってきたでしょ (*^^)v

そして、仕上げ!

仮張りから外し、下軸と表木を付けて完成です。

そこそこ良い感じでしょ (^o^)/

そして 掛け軸の保護のため、太巻きと言って 掛け軸を片付ける時に 太く巻けるような芯を作りました。

その為、古い箱に入らなくなるので、古い箱の箱書き部分を新しい箱に埋め込みました。

 

ようやく完成し、お盆前に 施主さんにお届けすると、とても喜んで下さいました \(^o^)/

なかなか 出来ない仕事なので、店長日記に書きとめました !(^^)!

2010/8/27 書く

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