表具師店長の日記
涅槃図を仕上げました ヽ(^o^)丿
掲載が遅くなってしまいましたが、昨年報告しておりました涅槃図の修理が完成しました (^^♪
前回は、本紙の裏打ちをめくり上げたところまで報告しましたが、その後欠損箇所に和紙を
補填し、裏打ちを施し、折れている部分に裏側から「折り伏せ」と言って 薄手の紙を細く切って
張り付けました。
【 裏打ちをめくった状態 表面 】 | 【 欠損部分に紙を入れた状態 】 | |
【 裏打ち後 表面 】 | 【 見えにくいけれど 折り伏せ後 】 |
その後再度裏打ちを施し 表向きに本紙を仮張りに張り付け、欠損箇所の
色合わせを行います。本来加筆は行わないのですが、施主様より少々リクエストが有りました
ので少しだけ加筆させていただきました (^_^;)
これで 本紙の修理は完成しました (^^)/
【 色の補填と 少々の加筆 】 |
周りの裂地ですが、上下廻しは 幅広の裂地を使用する事で対応出来ましたが、中廻しは、
適当な幅広の裂地を持ち合わせておらず、継いで使いました。
これらの裂地を裏打ちし、本紙の周りに 付け廻しをして ようやく 掛け軸らしくなってきました!
この涅槃図には、元から桐箱が付いていたので、そのサイズに合わせて掛け軸を断ちなおし
最終の裏打ちへと進みます (^^)v
幅の広い掛け軸と言っても、今まで預かった中では一番小さな涅槃図ですので、当店所有の
最大の仮張りに張り付けることが出来ました (^_^;)
【 付け廻しをして幅を落とした状態 】 | 【 総裏後 仮張りに張り付ける 】 |
総裏(最終の裏打ち)後 1か月ほどそのまま張り付けたままにし、一度外します。
そして裏から蝋を引き数珠を掛け(ガラス玉の数珠があり、それで掛け軸の裏面を擦る事によって
柔らかく仕上がります)をした後、再度仮張りに張り付けるのですが、今度は表向きに張り付けます。
こうして、裏・表を交互に出して張り付ける事で、掛け軸の調子が整ってくるのです (^_-)-☆
そしてさらに2週間ほど張り付けたままにし、その後 仕上げに掛かります。
事前に用意しておいた 下軸・太巻芯を取り付け、表木・かん・紐 を取り付け 完成です \(^o^)/
【 表掛け 】 | 【 完成 \(^o^)/ 下は太巻芯が付いてます】 |
しかし、元の掛け軸の裏に 当時奉納した方の名前が書いてあったので、それも残して欲しいとの
ご要望がありました。 こちらは、掛け軸にするのではなく 裏打ちだけをするとのお約束でしたが、
複数枚の紙に書いてありますので、紙を継いで行かなくてはいけません・・・
裏打ちをしてから継いだ方がやり易いのですが、継ぎ手が厚くなり 紙管に巻くにしてもボコボコして
しまうので、一枚ずつ 水張り(水のように薄い糊で裏打ちをする事。これをする事でしわしわの紙が
ピーンとした皴の無い状態になります!)をした後、配置を調整して紙継ぎをし、その後裏打ちをして
納めました。 こちらもちょっと大変でした (^_^;)
【 左の紙は右の左上に付いてました。 紙が弱ってて難儀しました・・・ (^_^;) 】 | |
【 こんな感じに仕上げました (^^♪ 】 |
施主様にお渡ししたら、その仕上がりにとても喜んでいただき、花のプレゼントをして頂きました!
【 金の生る木だそうです。ピンクの花がは珍しいそうですね! 】 |
やはり、喜んでいただけると言うのは、店長にとっても喜びですね!
今まで難儀して作業をしたのに、ついそれを忘れてしまいます・・・ ヽ(^o^)丿
また頑張ろうと言う気持ちになりますね (^^)/
2017/2/23 書く
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